8月公演開催判断についてと感染症対策について(7/17改訂)

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【8月公演における開催判断及び感染症対策について(7/17 キャンディプロジェクト)】

2020年8月7~10日上演予定『キャンディプロジェクト第十回舞台公演 不思議の国のドグラマグラ』に関して、社会情勢の変化に注視しつつ開催可否について継続的に協議してきましたが、報道でもすでに周知のとおり、先日、新宿区で劇場クラスターが発生いたしました。
本件については、同じく公演を企画する立場として看過できるものではなく、同公演に関し慎重に情報収集を実施するとともに検討を重ねましたが、当劇団と致しましては7/17時点において、対策を強化した上で開催する方向で引き続き準備を進めることと致しました。
無論、現状において、不安を感じておられる方が多くいることも十分に理解しております。
その中で、この不安に対し我々ができるのは、公演に対する判断がどのような観点に基づいているのか、また具体的な対策の内容を、可能な限り丁寧にご説明することだと思い、長文ではございますが、このような形で情報発信させていただいております。

以下、現時点で上演すると判断した理由、感染症対策の内容及び公演開催可否のガイドラインです。

 

1 上演するとした理由

(1)感染症対策の実行が可能

・来場者全員に対し、体温測定を行った上での入館を徹底し(出演者・スタッフについては、小屋入り二週間前から、主催者が毎日体温を確認)、咳などの症状のある方の来場をご遠慮いただくことで、有症状の方との接触を局限します。
・仮に無症状の方がいても、手指・靴裏の消毒を徹底し、マスク着用の上、前後左右に一席あける形でご観劇いただく分には、劇場内において観客が発話する機会はほとんどなく、観客同士の飛沫感染・接触感染のリスクが低いと考えています。また、劇場は法令により換気システムの設置が義務付けられているため常時換気が可能であり、さらに上演の前後は扉や窓を開けての換気、座席やドアの消毒を徹底することにより、回をまたいでの感染リスクを抑えられると考えています。
・舞台出演者と客席最前列は2メートルの距離を取っていますが、さらに最前列を封鎖することでそれ以上の距離を確保します。また、役者面会や差し入れなどをご遠慮させていただき、当日物販も中止することで、出演者と観客間での感染リスクも抑えられると考えています。
・楽屋以外にも劇場内に待機場所を設け、本番の舞台上以外では密にならないようにし、食事や会話においてもルールを徹底することで、出演者・スタッフ・劇場関係者間でも、感染リスクを低減させます。
・さらに詳細な感染症対策については別項でご説明しますが、これらを徹底することで感染リスクは十分低減できると判断しています。

(2)新宿の劇場で発生したクラスター感染に関する所見

現時点において収集した情報をもとに判断すると、極めて残念ですが、クラスターが発生したイベントは、感染症対策の実施が不十分であったと考えています。
具体的には、出演者に感染の疑われる者(有症状の者)が出たにも関わらず上演を継続するとともに、舞台と客席の距離が不十分で、出演者が客席内で発話することもあり、公演後の役者面会の中止が徹底されておらず、当日券の販売などもあり客席の減数が不十分であったことなどがあげられます。
これらは、主催者が発表していた対策が、当日は確実に実施されていなかったということで、当初は保健所が観客を濃厚接触者と認定していなかったものの、その後観客全員を指定したこととも符合します。

(3)withコロナの時代における小劇場演劇の公演のあり方

上記をもとに、十二分に対策を施せば、少なくとも日常生活(公共交通機関の利用やスーパーでの買物など)を送る以上のリスクが発生しないと判断しています。ただし、人が集まる以上、ゼロリスクは物理的に不可能ですので、withコロナの時代において、何をすべきで、何をすべきでないのか、今後も謙虚に内省し、情報収集を続けて参ります。
ただし、これらの対策を徹底すれば、興行的に収支を成り立たせることは残念ながら我々には不可能です。しかしながら、多大なコストがかかったとしても、小劇場演劇の灯を消さぬためにも、本公演においては採算が赤字となることを覚悟の上で上演したいと考えております。

(4)行政機関・業界団体・劇場等からの提言・ガイドラインによる専門的な視点に基づいた企画が可能

感染症に対して、残念ながら私たちは専門的な知識を有していません。このような状況においてどのような判断をすることが最も適切であるかを考えるには、専門的な知見を有するとともに、豊富な経験を踏まえた方の意思決定は大きな指針となります。幸いにも、演劇においては行政機関、業界団体等が具体的な提言・ガイドラインを策定しており、本公演を上演するに当たってはこれらを遵守することで、感染症に対して第三者の医学的知見に基づいた対策が可能と判断します。
なお、これらの提言・ガイドラインについては以下の通りです。

・政府から発令されていました緊急事態宣言は、5/25に解除され、一定程度の経済活動が再開されました。
・東京都の発表した「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ」において、6/1にステップ2に移行し、劇場の活動再開が認められました(6/12にステップ3に移行)。
・政府の発表した「イベントや展示会の開催制限の段階的緩和の目安」において、最初のステップ1においても、収容率50%以下・100人以下の屋内イベントは認められており、本公演もそれに準拠します(7/10にステップ3に移行)。
・公益社団法人全国公立文化施設協会が「劇場、音楽堂等における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」を出し、またシアターグリーンも上演にあたってのガイドラインを出し、小劇場協議会においても「東京都内の小劇場における新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」を発表し、私たちはそれらに準拠します。

 

2 感染症対策について

感染症対策をより厳格に実施するためにも当劇団では稽古期間、小屋入り期間、公演期間の3つステージに分けて対策を推進し感染症に対するリスクの軽減に努めていきます。

(1)稽古期間
・体調不良者(特に発熱、咳症状、味覚嗅覚異常など)に対する欠席と医療機関受診の勧告。稽古復帰は診断の結果をもって判断
・稽古場に入る際の検温、手洗い・うがい、ハンドジェル等による手指の消毒
・稽古場のドアノブなど、人が触れやすい部分を消毒
・頻繁な換気(30~60分に一回程度)
・原則、マスク・フェイスシールドを着用しての稽古。
・こまめな水分補給(喉に付着したウイルスを流すという意味で、感染症対策にも有効です)

(2)小屋入り期間
・空調システムを使った常時換気
・ドアノブ、手すりなど、人が触れた部分は、定期的な消毒
・劇場に出入りする者全員は、マスク着用の上、検温を実施し、手指・足裏を消毒してから入場していただきます。また、上演中以外は、マスク着用を続けていただきます
・また、劇場に出入りする者全員に、手洗い、うがい、水分補給をこまめに行っていただきます
・劇場に出入りする全員の氏名や連絡先の名簿化
・出演者、スタッフについては、小屋入りの二週間前から毎日検温を行い、体調変化を見逃さないように管理

(3)公演期間
・来場者全員、マスク着用にてご観劇いただきます
・入口に消毒薬を設置し、手指を消毒してからご入場いただきます。また、消毒マットを設置し、靴裏を消毒の上、入場いただきます
・非接触型体温計により、来場者全員を検温させていただき、37.5度以上ある方の入場は心苦しいですがお断りさせていただきます。また、咳などの症状が見られる方の入場もお断りさせていただく場合があります。なお、入場いただけなかったお客様への返金対応は即座に行います
・座席は前後左右を席1つ分開くとともに、最前列を封鎖し大幅に減数することで、収容率を50%以下にします。また、指定席にすることにより、お客様同士の接触する機会を減らします
・トイレなどは、座席に着く前に済ませていただき、着席後の移動機会をなるべく減らさせていただきます
・空調システムを使用し常時換気を行います。また、上演前後には窓やドアを開け、より空気の滞留を防ぐことに努めます
・行政機関より、イベント関係者及び来場者の名前・連絡先のリスト化が求められており、お客様にもご予約時に名前・連絡先をご記入いただき、関係官庁から提出の要請があった際には、必要に応じて個人情報の提出を行います。なお、個人情報は厳重に取扱い、これらの用途以外には使用しません
・役者面会を中止し、差し入れもご遠慮いただきます。フラワースタンドもご遠慮することとします。なお、ご来場いただいた皆様へ感謝を表現するために、他に何ができるか考えて参ります
・当日物販を中止し、閉幕後に混雑にならないようにします
・受付、場内案内スタッフは、マスク、フェイスシールド、手袋を着用します
・受付などが混雑しないよう、スタッフを増員して配置し、お客様の間隔を1メートル以上あけるよう運営します
・チケットのオンライン決済を導入し、可能な限り受付で現金を取り扱わなくてよい体制を構築します
・特に開場前には、館内の消毒を徹底します
・その他、劇場や公的機関からの指示に従います

 

3 公演可否のガイドライン

公演の可否については下記の基準を元に引き続き協議していきます。

・政府、自治体など行政機関から、劇場や演劇公演に対して、中止・休止の要請が出た場合
・劇場から公演中止を求められた場合
・劇場入り二週間前以降に、本公演の出演者・スタッフから、新型コロナウイルス感染の疑われる者が出た場合
・劇場入り二週間前以降に、本公演の出演者・スタッフの近親者(同居人など濃厚接触が避けられない者)から、新型コロナウイルス感染の疑われる者が出た場合
・新たな事例が判明し、実施予定の対策では、安全を確保できないことが判明した場合
・その他、劇団が中止・延期すべきと判断した場合

以上の通り、感染症について十二分に対策を取り、お客様、出演者、スタッフ、劇場関係者等の安全を確保した上で、上演したいと考えていますが、今後も情勢を冷静に注視しつつ、皆様の安全を守れないと判断した場合は、躊躇なく中止致します。

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