ブロガーから見た「河童×コッペリア」稽古場日誌 Vol.1
【前回までのあらすじ】
弟の生殺与奪がキャンディ江口に握られているのでキャンディプロジェクトの稽古場日誌を書くことになりました。
どうも、両目洞窟人間(27歳男性)です。引き続き、弟の命がかかっているのでこの場で文章をかいています。
「河童とコッペリア」
キャンディ江口がその言葉を発した時、頭の中ではてなマークが渦巻いた。
「両目くん、河童とコッペリアは知ってる?」
河童は知っている。あのあれだろ。緑色の、キンチョウのCMで山瀬まみが着ぐるみ着ていたあれだろ。
で、コッペリア。多分、名前の響き的にスイーツだな。
「あ、知ってます」知ったかぶりをした。
「今度、それを掛け合わせた舞台を作るから」
河童とコッペリアを掛け合わせた舞台。
河童がスイーツを食べる舞台なのだろうか。昨今ではグルメを取り扱った作品が大変はやっていると聞くが、この作品もそういった趣旨のものなのだろうか。
しかし河童がスイーツを食べるという作品、2時間に引き延ばすことなんてできるのだろうか。
いや、できるかもしれない。
私の脳裏に浮かんでいたのは久井諒子の「ダンジョン飯」だった。あれはいわゆるファンタジー世界のダンジョン(迷宮)を舞台に、そこに住み着くモンスターを食材として見立て、モンスターを調理しながらダンジョンの最深部に向かうという作品であった。
あれも出落ち的な作品かと思いきや、徐々に徐々に主人公達がダンジョンの最深部に向かうにつれて、物語としても深くなっていき、場所的にも物語的にも「思えば遠くへ来たものだ」(by海援隊)な気分にさせてくれる漫画であった。
多分、河童がコッペリアというスイーツを食べるというのも、深い深い深い話になっていくのではないのだろうか。
この目の前にいるキャンディ江口はそれを実現できる、否、させるんだという気概に溢れているようだった。
「とても楽しみです」弟の命を握られている私はおべっかを使った。いや、それ以上に本当に楽しみだった。
河童がスイーツを食べる話か・・・
と思っていると、稽古場の隅に転がっていた本公演のビラが風に舞って私の目の前に飛んできた。
そこには「キャンディプロジェクトがおくる「近代文学翻案シリーズ」第三弾は、芥川龍之介『河童』とバレエ作品として有名な『コッペリア』の交響劇」と書いていた。
どうしよう、私、知ったかぶりしちゃった。
(つづく)
文章:両目洞窟人間
雑文系ブロガー。映画、演劇、本、音楽から、独創的な妄想まで。
ブログ:にゃんこのいけにえ
2018年3月4日