出演者紹介16 矢﨑和哉
「交響劇 河童×コッペリア」に出演していただく役者の皆さんは、座組の中でどう見られているのか!?
他己紹介形式でお送りする「出演者紹介」。第十六回は、矢﨑和哉さんをご紹介します!
今回の紹介文は大田雄史さんによるものです。
【お名前】
矢﨑和哉(劇団昴)
【今回の役】
トック:河童の国の小説家。「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」を抱える。
【紹介文】
劇団昴という由緒正しい劇団の団員でいらっしゃる矢﨑さんが演じるのは、
トックという河童。河童世界で活躍する小説家です。
ひと昔前の文豪よろしく、ムツカシイ言葉とムツカシイ理屈で、
河童世界の鬱屈を表現する、とても重要で、ムツカシイ役。
しかし、この矢﨑さん。昴仕込みのエエ声で朗々と語ってくれるので、
共演していても思わず聞き惚れてしまいます。
そして、稽古場で決まった段取りや決まり事をすべて把握していて
聞くと大体何でも教えてくれる。とても頼りがいがある。年下なのに・・・
かと思えば、セリフのない群衆のシーンには様々な小ネタを仕込み、
共演者を笑かしてくるというお茶目な一面もあり。
まさに演劇を、表現を楽しんでいる感じが素晴らしいです。
【好きな台詞】
トックのセリフで好きなのは、なんでしょうね。
真面目に答えると、
「彼は僕の影響を受けない、でも僕はいつのまにか彼の影響を受けている!」
です。
まあ、そんな気分になる時もありますわね。
重厚かつ軽やかな、矢﨑氏の芝居をぜひ劇場で!!
【演出・キャンディ江口から一言】
矢﨑くんとの出会いは、ズバリこの芝居を通してでした。出演者の一人、遠藤くんからの紹介でオファーをかけ、快く引き受けてくれた彼には感謝しかありません。普段は僕が一度でもお芝居を観たことのある方にのみオファーをかけるのですが、彼の輝かしい経歴に加え、一度会ってお話しさせてもらっただけで、その滲み出る人柄に惹かれて今回に至りました。
彼の良さは色々とありますが、一番は「役者として表現に立ち向かう姿勢と心構え」にあります。僕たちは、表現するうえで足元の覚束なさに一喜一憂して、「表現を楽しむ」ことを忘れがちです。彼は「表現と共に遊び、表現と共に眠る」ことのできる役者だと思います。故に、表現と親しいからこそ表現に対して真剣に取り組むことができるのでしょう。何とも羨ましい。
今回は、プライドと劣等感を抱えた小説家の役に挑戦していただいています。僕には、この役がまるで芥川自身のように思え、作品中に芥川を彷彿とさせるような印象的な行動をとります。その雄姿、ぜひご覧いただきたく存じます。
2018年3月29日